‘日常活動・日常風景’ カテゴリーのアーカイブ
2010 年 10 月 5 日 火曜日
風景に宿る生命の気を感じ、自然の保全や心の拠り所の保全には配慮した。しかし石碑の裏にはもう一つ大事なことが書いてあった。言いわけになるが行政の土木の仕事は建築と違って設計が終わると施工管理にはタッチできない。その後の発掘調査で縄文の大規模な遺跡が出土したことが記されていた。
当時は縄文の歴史や遺跡に対する評価はまだ低かった。時代も高度経済成長の延長上、三内丸山級の遺跡も東北新幹線や東北自動車道の下に次々と消えていた。八幡平市内の長者屋敷遺跡もその一つである(双六場3)。今日のような縄文遺跡の保全気運やその歴史的価値の再認識はその後20年経った1994年、三内丸山遺跡の登場を待たねばならなかった。もっとも遺跡保存ならこの団地はないのだが・・・
せめてもの慰めは地形をほとんどいじらぬ設計をしたこと。遺跡そのものは残っていないが“現住民”は“縄文人”と同じ風景とロケーションで生活していることになる。
(※写真拡大できるようになりました♪)
- 公園の片隅にひっそりと立つ団地竣工時の記念碑
- 設計時に分からなかった事柄が色々書いてあった
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2010 年 10 月 2 日 土曜日
この団地は東北自動車道の土取り場跡だったので、設計委託を受注しオッホが現地調査に訪れた時はすでに現在中層建築が建っている場所は削られていた。残っていた溜池やせせらぎの保全以外にもう一つ何とかしたいことがあった。境界に接した周辺住民の崇敬を集める神社の「背景」の復活だ。山が削られ本殿の後ろが剥きだしとなり趣を失っていた。幹線道路はそのすぐ後を通る計画となっていた。
今回の訪問で中央公園の中にひっそりと立つ大きな石碑を発見した。その裏にはオッホが設計時知らなかったことがいろいろ書いてあった。この地は「湯沢森」とか「巫女山(いたこどやま)」と言われ、頂上には権現様、麓にはこの雀神社を祀り、生命の水が湧き出る村の象徴の場であったと。
住宅地を減らして道路を動かし、神社の背景を作る最低限の木を植えるスペースとゆるやかな勾配を確保、旧住民と新住民の心の拠り所の場とするとともに、交流ができるよう団地からのアクセス路も加えた。公社の責任者が「オレの首が危ない!」と言わしめた力はきっと先の地神様が与えてくれたのかもしれない。当時のこんなやり取りを知っているのはもうオッホだけである。
うっそうとした林を抜けた参道の先に雀神社の拝殿
35年経ち、拝殿の背景に林と静寂が新たに復活・・♪
団地と結ぶ歩道にも鳥居が立ち「参道入口」の標識♪
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2010 年 9 月 29 日 水曜日
人間ドックを受けた病院がたまたま思い出の場所近くだったので、久々にゆっくり立ち寄ってみた。そこは今盛岡市となった旧都南村地区、35年前(1975年)主任技術者としてはじめて設計を任された団地である。当時まだ新幹線は開業10年前、盛岡には東京から夜行列車で打合せに通った。オッホの著作「風景と景観」の「風景文化の中の『命』-悠久の自然に手をかける-最初の戸惑い」の項に、「中心には緑に囲まれた静寂な池があり、その向こうの山に続くなだらかな傾斜の明るい林にはせせらぎが流れ、水を池にそそいでいた。そんな絵のような風景をはぎ取ることが私に課せられた仕事である。」と書いたその場所である。発注者であった当時の県住宅供給公社の担当課長から、「これ以上あなたの理想を入れるとオレの首が危ない!」と言わしめるまで生命を活かす設計にチャレンジした。いま岩手に住み、その35年後の結果が眼前にある不思議、そして公社は昨年役目を終え解散した・・・
宮沢賢治も愛した南昌山(正面)の麓にある団地
思いが通じて残った湯沢中央公園内の大ため池と緑
いま新住民の憩いの場として、また歴史の場として
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2010 年 9 月 24 日 金曜日
先日の日曜日、縄文街道の中間にある北秋田市で世界遺産フォーラム「ストーンサークルのやくわり」が開催されるというのでひとっ走り。基調講演はオッホの最初の大学の現名誉教授小林達雄先生、「縄文人がストーンサークルに求めたもの」というテーマでスタート。平気で“嘘”を話す「古物学者」や偏狭な「御用学者」が多い中で、この先生の話はちょっと視点が広いので面白い。次の講師の「ストーンサークルをなぜそこに造ったのか?」というPCで遺跡の立地を分析した講演も興味を引いた。
いま法人では縄文街道160キロの大パノラマ絵巻の新たな作品の制作を開始した。まさに縄文人がストーンサークルをなぜこの縄文街道沿いにたくさん造ったのか、その理由が視覚的に分かるような豊かな大地の表現をしたいと考えている。もちろん実際に描くのは小田ひで次です!
- 縄文遺跡群の世界遺産登録をめざすシンポジウム
- 敵が多いと話しながら講演するユニークな小林先生
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2010 年 9 月 21 日 火曜日
ローカルヒーローを全国から集めた2回目の「IWATEハチマンタイダイナマイト」なる催しが、昨日八幡平への登り口のさくら公園で開かれ賑わった(釜石環状列石は同じ公園内)。このイベントを仕掛けた市の商工会青年部の部長が当法人の1期生なので応援がてら見に行く。参加者は当然家族連れが大半だが、ふだん見かけないオタク風の人たちも。事前情報だと九州から飛行機を乗り継ぎ参加する熱心な追っかけファンも来てたはず。パフォーマンスは水戸黄門風の勧善懲悪でワンパターンだが、これが結構はまる♪ただ戦隊ものの宿命、地域活性、自然保護もすべて腕力で解決というのはひねりが欲しいところ!まあ子育て中の親にとっては大空のもと、子どもをダシに現実を忘れる貴重なひと時に。それにしても天気良くかつ涼しい日で良かったナ~演者のみなさんお疲れさま!
司令官姿の青年部長と地元ヒーローハチマンタイラー
全国計14のローカルヒーローが集まり気勢をあげる
欠かせない悪役たちも場外に出て盛り上げに奮闘!
巖鷲護神ハチマンタイラーも子どもたちにサービス
飛び入り参加?友情出演筑波大のソーランドラゴン
ユニークな名古屋のヒーロー!オレパンダー
大人に人気!気さくにサインする姿がユーモラス
裏方として活躍。1期生旭日之湯の甲斐勇くん(左)
仕事を投げ打って準備した中軽米貴人くんとオッホ
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2010 年 9 月 20 日 月曜日
朝暗いうち(5時ごろ)から隣の犬が「ワンワン」吠えている。外を見るとこんな時間なのに松川の両岸は車で埋まり、河原は釣り人でいっぱいだ。ヤマメやイワナをここでも放流するので、遊漁料年4000円を払えばいつでも釣りが楽しめる贅沢な環境だ。ただこれまで性に合わないのでほとんど釣ったことはない。3月から始まった解禁も今月末で終わり、今回が最後の放流だとか。放流場所からほとんど移動しないので、見ているとほとんど生けすのように入れ食い状態。この川も今は人工的な放流で魚影を保っているが、本当は下流(北上川)の四十四ダ田ダムが着工される(丁度50年前)まで太平洋から天然のサケが大量に遡上していた豊かな場所だったのだが・・・・
気候も良く、事務所前は早朝から今年最後の賑わい。
次から次と釣り堀のよう、これで面白いんだか・?
魚籠を見せてもらった。すでにイワナでいっぱい!
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2010 年 9 月 17 日 金曜日
早朝窓をあけると、キジバトがいつものように「デッデー、ポッポォ~♪、デッデー、ポッポォ~♪」と大きな声でさえずっている。ひとしきり鳴いた後に静寂が戻ると、今度は「ポタッ」、「ポタッ」と聞きなれないかすかな音がする。何かと覗いてみるが人の気配も動物の気配もない・・・??。アッ!と気が付いた。胡桃(くるみ)の実が熟し地べたに落ちている音だった。以前にも紹介した我が家で唯一取れる食材、割るのが面倒でたくさんたまっているがようやくそんな収穫の季節が訪れた。
くるみの木、大木となりちょっと手を焼いている。
この実が落ちる音だった!今年は誰かにあげないと
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2010 年 9 月 12 日 日曜日
今年は「真夏」がオッホの言う「風夏」まで席巻したので、一気にすがすがしい「秋」となった。秋になった証拠は大空の色で伝えられるだろう。湿気がないため深い青が撮れた。こんな青空はシルクロードの敦煌(とんこう)以西の砂漠で見て以来である。この大空をトンビがピ~ヒョロロと気持ちよく舞っていた。岩手に住む決意をしたのも、美しい岩手山をバックにトンビが輪を描きながらのんびりと大空を舞う雄大な風景に15年前惚れたからである。
澄み渡る秋空をゆったりと輪を描くトンビ(左下)
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2010 年 9 月 8 日 水曜日
記録破りの暑さが続いたが、この2、3日ようやく北国らしいさわやかな気候に。マスコミは異常、異常と騒ぎ「もしかして地球が・・・」なんて不安をあおる。しかし、虫の音は例年通り賑やかだったしトンボもいつも通り飛んでいた。人間界の騒ぎを超越した小さな生き物たちの営みは心を穏やかにしてくれる。さて北上川の最上流、松川河畔に秋田杉で家を建てて約13年、当初はキツツキに穴を空けられるのではと心配したが杞憂だった(鳥も虫がいなければ無駄な作業はしない?)。その代わり蜂が毎年軒先に家(巣)を作るように。合計14戸。東側8戸と西側に6戸、不思議なことに南北にはまったくない。この土地の風雪の厳しさを知り尽くし、家を作っている知恵にいつもながら感心させられる。
- 居住環境の良い高い所から作る傾向?古い巣。
- 今年の巣(9月8日現在)、一番低い所にできた。
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2010 年 9 月 4 日 土曜日
毎月持ち回りで開催している里の駅の定期連絡会、今回は秋田の関善賑わい屋敷で開催した。3ヶ月後に新幹線青森開業を控え、北東北3県の最新情報を交換し合う場はますます貴重だ。4か月前から参加している 高知大学のインターンシップ生Y.N.嬢(8月2日付で紹介)にとっては今日が最後の実習の場となった。 難解でグローバルな「縄文街道甦生プロジェクト」、これまで大学生には無理と考えていたが改めて見直すきっかけとなった。当法人はやる気と優秀なインターンシップ生を来年度は本格的に公募する予定である。南国土佐から涼しい夏を期待してせっかく岩手に来たのに今年の異常気象、気候に関してはちょっと期待はずれで帰郷することに。いろいろお疲れさまでした~(^o^)/
Y.N.嬢最後の実習、卒論代りにツアー案を発表!
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