敷地内の食せる秋の恵みはクルミだけである。しかし一番ありがたい秋の恵みは杉の枯葉だ。冬を迎える前に必ず「木枯らし」が吹く。すると字のごとく庭一面が枯れた杉葉でいっぱいになる。この葉がないと長い冬を乗り越えるための薪ストーブの火つけに困る。今はおがくずに石油を染ませたものを使うのが一般的だが、薪ストーブに石油の匂いは似合わない。杉葉は火つけの実用とお香の原料に使われるように薫りが良い。薪の炎のゆらぎ、身体の芯まで暖めるやわらかな温もり、そしてこの杉の葉の薫りとストーブ料理は雪国最上の客人へのおもてなし。自給自足できる唯一の“実り”をくれる木枯らし、無意味に吹いているのではないようだ。
2009 年 10 月 のアーカイブ
木枯らしと秋の恵み杉の葉
2009 年 10 月 25 日 日曜日岩手山の初冠雪と縄文街道四季暦
2009 年 10 月 24 日 土曜日今年は岩手山に初雪が10日に降った。頂上付近にちょこっとだったのと雲でうまく写真に撮れなかったがいま山麓は紅葉の真っ盛り。冬の訪れがとても視覚的で分かりやすい。雪はこれからどんどん麓に降りてきて里を埋め尽くす。本州で最も寒い地域に移住してみると、これまで常識としてきた東京基準の気象学的な四季基準が当てはまらない。そこで長年課題であったこの土地の生命の営みを視覚的に表した「縄文街道四季暦」を昨年末発刊した(このHPのネットワーク活動のところに掲載)。今年もちゃんとこの暦通りに四季が移ろっている。
オリオン座流星群と愛車
2009 年 10 月 22 日 木曜日今は新月で月明かりもなくオリオン座流星群を観察するチャンスだとテレビや新聞が盛んに報道している。田舎暮らしの特権、これは見るっきゃない!ということでチャンスをねらっていました。昨夜とうとう見ましたヨ!4時に起き、満天の星空を東の窓から眺めていると肉眼ではっきりと光の軌跡が・・♪。1時間に50個という触れ込みとは違い10分に1個ぐらいでした。意外と天頂に近いところからも光るので自慢の愛車に移動。寝転がって天体ショーを楽しみました。もうちょっと早く気がつけば・・、願い事もすればよかった!
大瀬の夫婦サイカチの子です!
2009 年 10 月 20 日 火曜日 パソコンが壊れちょっとお休みしてました。
精霊チカジの住むサイカチの木の10メートルほど上流側に、高さ5~6メートルほどのサイカチの若木が生えています。実は夫婦サイカチの落ちた種から自然に育った若木です。最近大分立派になってきたので先日名札を取り付けました。
2年前の平成19年8月、老木チカジの木は大枝の1本が腐朽して根から折れ、台風も近づき全体が倒壊の危機に瀕しました。新聞の見出しも「夫婦サイカチSOS]と載せてくれました。その後関係者の努力により最悪の事態はまぬがれましたが、根の周りの土が大陥没したり、樹高をもっと下げないと風で倒れる危険もあり予断を許しません。せっかくの夫婦木、跡継ぎが立派な巨木となるまでいっしょに長生きして欲しいと願っています。
座敷わらしの宿が火事に!
2009 年 10 月 8 日 木曜日 北東北の観光に寄与しているメジャーな精霊に遠野(岩手県)の河童と男鹿(秋田県)のナマハゲがいる。そして全国的に人気のあった隠れ精霊として二戸(岩手県)の座敷わらしがいた。座敷わらしとは広辞苑によると「東北地方の旧家に住んでいると信じられている家神で、居なくなるとその家が衰える」とある。
「・・いた」というのは10月4日、その住んでいた築300年の有名な旅館が火事で焼けてしまったからだ。焼けたため居なくなったと思っていたが、ある人が「そうではない、居なくなったからこのようなことが起きた」のだと。確かに広辞苑の記述だとそうなる。泊まる人々に幸運を授け、40年近く旅館を支え3年先まで予約を満杯にしてきた座敷わらしの思いはどうだったのだろう?関係者の心配も座敷わらしの消息より今後の観光のことしか述べられていない。縄文街道甦生活動にとっても示唆となる出来事だ。
ジョウモン人とヨソモノ人の自然観
2009 年 10 月 7 日 水曜日 オッホの二つ目の大学は造園学科である。事務所の庭は枯山水、池泉回遊式に続く新たな日本庭園様式模索の実験場となった。庭の植物は自然に種から生えた在来種だけで、一見荒れた庭にしか見えない。しかし岩手山(国立公園)を借景に中景の川辺の周辺風景(歴史場)と移りゆく自然の営みを一体的に楽しめるとても贅沢な庭園(?)なのだ。ただ庭なので愛想のない植物を抜き続ける“手入れ”を10年続け、ようやく一つの日本庭園様式ができた。実はこれが目指す風景と一体となった農薬も使わない究極のエコの庭の形と信じている。常に咲く花は自然淘汰で毎年変わり続け見飽きることはない。
こちらのジョウモン人の庭は見事に“雑草”を抜き、造園屋にも結構頼んで手入れをしている。たぶん彼らの目には不精で貧しい庭としか映っていないだろう。そこがヨソモノ人とジョウモン人の自然観の最大の違いでもある。この違いを理解しないと田舎の風景づくりはトラブルになる。 造園屋御用達の木以外は雑木として容赦なく伐採の対象となる。春、庭一面のタンポポは都会から来たヨソモノ人には夢の庭だ。先日散歩中の土地のおじいさんから「ここは別荘ですか?」と尋ねられた・・・♪♪
サイカチのしめ縄が新しくなった!
2009 年 10 月 6 日 火曜日10月の第一土曜日、10年来続いている毎年恒例の夫婦サイカチのしめ縄の取り換えが地元の人たちの手によって行われた。新しいしめ縄とへいそくはやはり気持ちと雰囲気を新鮮で厳かなものに変える。サイカチ物語に描かれているように、最初に産業廃棄物を処分した時、再度ゴミが捨てられないようにと考えた工夫がしめ縄であった。いま周辺の産業廃棄物もすべてなくなり、10年前に目指した風景がほぼ完成した。モニターツアーが成立すれば、11月1日、正式にお客さんを迎えることとなる。「大瀬渡り舟橋跡」という歴史場としてもデビューだ!